「引退」そして「撤退」—。これらの言葉に、農業経営者であるあなたは
どんな印象を持つのだろうか。農業の世界では「離農」を語ることが、
一種のタブーとして受け取られてきたようにも思う。
しかし、経営における合理的な判断の選択肢として撤退すること、
新たな人生を目指して引退することは、決して否定されるべきものではない。
農業を取り巻く環境が激動な時代だからこそ、離農という
「経営者の勇気ある決断」について、率直に考えてみようではないか。
撤退・引退は経営者が自ら考えよ
日本農業に地すべり的な変化が起きている。その変化は本誌が目指す農業の産業化に向かう変化である。同時にその変化は、農業からの撤退を余儀なくされる者も生み出す。
創刊号以来の読者が、“離農”を理由に購読中止のご連絡をいただくことが増えている。本誌は職業あるいは事業として農業を選び、それにチャレンジする人々を対象とする雑誌である。そんな雑誌をご購読いただいた方々が離農される。そのご報告を特別の想いで聞かせていただいている。