先月号では、農業経営者が価格決定権を持つためにはモノとしての農産物ではなく、顧客を感動、満足させる付加価値を加えた商品として販売し、ロイヤル顧客をつかむべきであると、提言した。だが、付加価値を備えた農産物が購入されるのは、誰かに対する贈呈用としてだったり、その食材を食べなければいけない、何か特別な動機があって初めて成立するものである。そうではなく、もっと一般的な生活シーンの中で選ばれる農産物にブランド性を付与し、消費者が手の届く範囲で「買いたい」と思わせることはできないものだろうか? これを実現することで食料を国民に供給するという、農業経営者の社会的責務を果たすことになるのではないか?