今月号と次号の2回に分けて、農場での雇用、そして人材を育てるというテーマで特集したい。
「良い人材が集まらない」「来ても半日でいなくなってしまう」などと、働きに来る者に対するボヤキを農業経営者たちは述べる。確かに、それも事実だろうし、農業で社会保険を整備し、ほかの産業と同等なレベルの給料を払うというのは決して容易なことではないだろう。農業という言葉の概念自体が「生産」を意味するのであり、販売や加工あるいはレストランを作り、サービスで商売をすることは農業の範疇に入らない。農業生産法人で自己資本を増強しようとしても25%以上は耕作者以外の資本を入れることができない。そんな制約があるのは事実である。
でも、人を雇うことに苦労するのは、ほかのどんな商売も同じなのである。どんな経営者も思い通りに行かずに苦労しながら、それでもそれに取り組んでいるのだ。
そこで、今回の特集ではまず、働きに来る者についてとやかく言う前に、経営者としての貴方が、そして貴方の農場が、果たして人を雇い、それを育てるに足る経営者や農場になっているのかを自問してみるところから始めてはいただけないだろうか。